宮本百合子
底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
初出:「宮本百合子選集 第六巻」安芸書房
1948(昭和23)年12月発行
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
宮本百合子
また文学作品の評価のよりどころとしての社会性の課題がとりあげられ「調べた作品」の要望もおこっていた。当時、無産派の文学としてあらわれていた作品は、どれもそれぞれの作者の生活より自然発生的にその貧につき、社会悪と資本家への憎悪などが描かれたもので、つきつめてみればそれがこれまでのような富裕な階級に生きる文士の身辺小説でないという違いをもっただけのものが多かった。その「印象のつづり合わせ」や「単なる興奮と感傷」に満足しないで、労働階級は生産機関を握り、社会の運転を担当している階級なのだから、ブルジョア文学者のうかがい知ることの出来ない生産と労働と搾取との世界を解剖し、描写すべきであると主張された。